〔1〕運転前点検
燃料タンク
ゲージの指針が、左端“R”(Reserve-予備)の所にこれば、是非燃料を補充していただくなくてはなりませんが、予備燃料は約5リットル入っております。
ブレーキ
乗員と車の安全は、ブレーキの良し悪しにかかっています。出発前には、必ずブレーキテストを行いましょう。車を動かして、数回ブレーキを踏み、ブレーキの効きを確認して下さい。
方向指示器レバー
ライト回りの点検は、始動点検の中では基本的なものです。イグニッションスイッチを入れてから点検してください。
方向指示灯の中、どれかが点灯しなくなれば、方向指示灯とスピードメーター内の方向指示警告灯のフラッシュが早くなるので、すぐ分かります。
ブレーキ灯は、エンジンスイッチを入れてブレーキペダルを踏めば、点灯するはずです。
エンジンオイルの点検
エンジンを止めて点検してください。オイルの液面の高さには、何度も注意して、ディップスティックの2つのマークの中間にオイルレベルがあればOKです。先端に近い方のマークから下に下がれば危険信号です。すぐにオイルを補充しましょう。オイルはVWショップ指定のものを入れたほうが無難です。
タイヤの点検
素晴らしいロードホールディングはタイヤ空気圧の適否によって左右されます。時々空気圧をチェックしてください。タイヤ圧は、道路状況、気候等により違いますのでタイヤ専門店、VWショップにご相談ください。
エンジンの始動要領
イグニッションとスターターの両スイッチは複合されていて、キーを回す各段階によって作動いたします。スターターモーターは、電流の消費量が多いので、スイッチを入れる場合には、ヘッドライト、ウインドシールドワイパー、ラジオ等は、切っておいて下さい。ギアシフトレバーは勿論ニュートラルにしておいて下さい。
先ずキーを右に一段回しますと、赤色と緑色のライトが速度計の中につき、イグニッションスイッチが入ります。続けて更に右にキーを回しますとスタータが回ります。

-氷点以上の場合-
若しくは、エンジンが暖かい時には、アクセルペダルを少し踏みながらスターターを回してください。エンジンが非常に温かくなっている場合には、アクセルペダルを一杯に踏み込みながらスターターをお回し下さい。
-氷点以下の場合-
その上、エンジンが冷えきっている場合には、イグニッションスイッチを入れる前に、アクセルペダルを一旦一杯踏み、ペダルを離してからスイッチを入れて下されば、チョークバルブが閉じ、オートチョークがききます。外気が冷えてきますと、オイルが固くなりクラッチに負荷がかかります。スターターを回す時にはニュートラルにしてクラッチを踏みながらクランクするように心がけましょう。
エンジンがかかったら、すぐにキーを離してください。後はオートチョークが、エンジンの作動温度に合うような、混合気とアイドルスピードに合わせてくれます。エンジンが暖まらないうちは、エンジンを空ぶかしさせないでください。
スターターを回して約10秒たっても、エンジンがかからなければ、それ以上スターターを回さないで、約10秒間程待って、バッテリーを休ませましょう。スターターは、VW独特のノンリピートスイッチ(二重始動防止装置)なので、エンジンが止まったら、一旦イグニッションスイッチを元のOFFの位置に戻し、それから改めて、スターターを回してください。ノンリピートスイッチの場合には、エンジンがかかっている時に誤ってスターターが作動して、ギアを破損しないよう設計されています。始動の際、エンジンの爆発音が断続的に聞こえる場合には、かまわずにスターターを回しても構いません。
ダイナモチャージングとエンジン冷却用の赤色警告灯
エンジンの回転数が上がり、アイドルスピードをオーバーすると消えます。もし、この警告灯が運転中に点灯するようなことがあれば、直ちに車をとめ、ファンベルトに異常があれば、ダイナモは回りませんし、一番大切なエンジンの冷却も行われなくなります。
もし何かの理由で、ダイナモのチャージが悪くなった時は、早急にVWショップの点検・修理を受けてください。無理をしますと、バッテリーは完全に上がってしまいます。
油圧用の緑色の警告灯
この警告灯も、エンジンがかかれば消えます。もし、この警告灯が運転中に点灯すれば直ちに運転を中止してください。何かの理由でエンジンオイルの循環が止まったのですから、オイルレベルをチェックして下さい。その際、オイルレベルが正常であれば、他の原因でオイルが循環しなくなったのですから、エンジンに致命的な破損をあたえる前に、信頼のできるVWショップにご連絡ください。
エンジンが暖まり、アイドル時に異常がないにもかかわらず警告灯が多少点滅することがあります。
〔2〕運転要領
ギアシフト
車にお慣れになるまでは、速度計の指針によく注意し、車の速度と、各ギアの使用許容範囲との関係をマスターしてください。
図の説明通り、各ギアの切り替えは、それぞれの許容範囲内で行ってください。

青字は経済的な運転時の目安速度
リバースギア
車が完全に停止してから入れてください。このシフトにはロック装置が付いていますので、不用意に抜ける心配はありません。リバースにシフトするには、シフトレバーの先端を下方に押し下げ、上図のように(Rの位置)左後方向に引いてください。
低速ギアへの切り替え
坂道へさしかかる時、或いは、低速から加速する場合、VWのトランスミッションは、フルシンクロですからシフトダウンしても問題ありません。ただし、ある速度の範囲内での使用ギアは、忠実にお守り下さい。許容範囲を超えて、シフトダウンしますと、トランスミッションに不必要なロードをかける事になります。どのギアでも、スピードが落ちてくれば必ず低いギアに切り替えてください。高い方のギアで、そのままノロノロ運転を続けますと、エンジンが参ってしまいます。大体75~40km/hの間で、4速から3速に、50~25km/hの間では3速から2速にシフトダウンする習慣をつけましょう。1速は、発進時、或いは歩行速度、若しくは、急坂運転の場合にご使用ください。
ギアシフトする時には、完全にクラッチが切れるように、ペダルを一杯に踏んでください。完全にクラッチを切らないでシフトしますと、シフトが入りづらい上、シンクロナイザー・ストップ・リングが早く磨耗します。
どのギアをご使用になるとしても、決して無駄にエンジンをふかさないで下さい。エンジンの寿命がそれによって左右されます。
クラッチ操作について
クラッチペダルは、動き出す直前に踏み、1速に入れてください。
停車する場合には、クラッチを入れて、ギアを入れたままにしないでください。
運転中は必要な時以外は、クラッチペダルに足を載せない様にしてください。
また各ギアでの最低速度を上手に使いこなせば、不必要な燃料消費を防げます。例えば、次のグラフでお判りのように、市街地でも、4速の範囲内であれば、わざわざ3速に落とす必要はなく、燃料は節約できます。また不必要に1速、2速で回転を上げて引張って走る場合にも同じことがいえます。普通の状況では10km/hで2速、25~35km/hで3速、40~50km/hでトップに切替えられます。

アクセルペダルは、徐々に踏み込んで加速しましょう。フルアクセルや急ブレーキは、緊急時の場合のみご使用ください。
坂道を登るとき、スピードが落ちてきても、依然としてアクセルを踏み続けていてはいけません。適当な時期に低速ギアに切替えて下さい。
カーブ時や停車する場合には、早めにスピードを落としましょう。また、坂道を下る場合にはエンジンを切って堕走しないようにして下さい。
最もエンジンの為になる操作条件は、キビキビした運転と、正しいギアシフトによって満たされます。
ブレーキ
ブレーキは注意深くご使用になり、決して路面にタイヤの跡が残るようなブレーキのかけ方は感心しません。ブレーキペダルに異常を感じた場合は早急に信頼のできるVWショップで点検を受けてください。
坂道を下る場合には、エンジンブレーキをお使い下さい。その時のギアは、登坂の場合に使うギアにシフトすればいいのです。
パーキング(駐車)
狭いスペースにでも簡単に駐車できます。
先ず、前方の車の横に並べて停めながら、ステアリングを左右何れかに一杯切り、静かにその場所にバックで入っていきます。

自分の車のフロントバンパーが、前の車のリアバンパーと並んだら、今度はステアリングを逆の方向に一杯切り、縁に近づきながら、更にバックします。最後に、ステアリングを、再び逆に切りながら先進し、適当な所で停めてください。

勾配のついた所で駐車する場合には、ハンドブレーキをしっかりとかけ、車が動き出す心配のないようにして下さい。勾配に応じて1速あるいはリバースにシフトしておけばさらに安全です。

駐車する場合には、如何なる場合でも、キーを車内に置かない癖をつけましょう。
牽引
万一の場合に、車を牽引しなければならない事がありますが、その際バンパーにロープを掛けないでご面倒でも、後方より引張る場合には、リアショックアブソーバーの下端さもなければ、トーションバーの入っているクロスチューブに巻いてください。他の部分では、車を傷める結果になります。
前方より引張る場合には、下側のアクスルチューブに引っ掛けてください。但し、ロープは、アクスルチューブとスタビライザーの間をくぐらせて引張ってください。
(1964年式 1200セダン、コンバーチブルの取り扱い説明書をベースにBUG BOXがアレンジしております)